徒然日記

映画、小説、日々の生活などで自分の感じたことなどをその時の気分で書いてます。

映画『東京無国籍少女』の感想

東京無国籍少女を観ましたので、その感想をぼちぼちと。

この映画は『スカイ・クロラ 』や『機動警察パトレイバー 』でおなじみの、押井守監督の実写映画です。

主な出演者は清野菜名さん、金子ノブアキさん、りりぃさん、本田博太郎さんなどです。

 

この映画は序盤、どことなく幻想的な始まり方をします。それから多少の波はありつつも、基本的には静かな雰囲気で進んでいくのですが、ラスト近くになってくると、それが一変していきます。

たぶん好き嫌いがはっきりと別れ、とても人を選ぶ映画だと思います。

 

ちなみにこの映画は【ラスト15分。この結末は予想できない】という煽りなのですが、確かに僕はまったく予想できませんでした。

 

以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

 映画は、とある女子高の美術室で、美術部員が絵を描いているというシーンから始まります。

 
その美術部員である主人公・藍(清野菜名)は、皆が羨むような才能を持っていながらも、なんらかのPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされ、その才能を発揮できなくなっている。それを美術教師(金子ノブアキ)や同級生は疎ましく思っているのですが、学校側が広告塔として藍を使いたいので、何とか回復させろと命令してくる。
 
藍はPTSDによって生理が止まったり不眠症に悩まされたり、また同級生からいじめを受けたりしながらも、独自に謎のオブジェを作り続けている。

そうしてそのオブジェが完成した頃、藍に生理が訪れます。その時に教室の中に居た藍は慌てて教室から飛び出し美術室に向かうと、そこで外国兵に襲われている自分を発見します。

 

ここまでずっと静かで陰鬱な雰囲気で進んでいた映画は、その瞬間から一変、アクション映画に様変わりします。

 

自分を襲っていた外国兵を返り討ちにして、銃を奪った藍は、突如として学校内に現れた、仮面を付けた外国兵と戦闘を繰り広げ、最後には校舎に近付いてきた軍用ヘリを、敵兵から奪ったロケットランチャーで爆撃。

そして藍は目が覚めます。目覚めるとそこは、校舎を基地のようにして、外国(おそらくロシア)と戦争を繰り広げている日本の姿がありました。ちなみに、金子ノブアキさん演じる美術教諭は、軍の中佐(だったと思います)であり、藍の上官でした。そして藍を苛めていた美術部員は、実は同じ戦争での兵士仲間。最後はその仲間たちと戦車にのり、戦地に向かおうとする場面で映画は幕を閉じます。

 

まあ簡単に言えば、美術部員として学校生活を送っていたというシーンは全て藍の夢の中の出来事。つまり夢オチで、本当の彼女は戦争で負傷し、今まで眠っていたということです。

 

これだけ見ると『なんじゃそりゃ』となりそうですが、実は色々と伏線を張っていたりします。

例えば、学校に頻繁に地震が起きる(おそらく、敵に攻撃されていた事の暗示)。美術教師の喉に美術用具のヘラを押し当てて傷をつけたのが、翌日には綺麗に消えてなくなっている(おそらく、舞台が夢や幻覚であることの暗示)。作中での食事が兵士が食べるような食事であったり、ある会話で「戦闘呼吸法か」みたいな台詞があったり、人物デッサンの時に、藍がそれを無視して勝手に描いた絵が、知恵と戦いの女神であるらしいアテナの絵であった(おそらく、兵士であることの暗示)などなど。

 

僕の知識が足りずに伏線と気付けないモノもあったり、見つけることすらできなかった伏線ありそうなので、もう一度観れば、たぶんもっと細かな伏線に気が付けるかなと思います。

 

まあ、そんな感じで、ラストは本当に予想外の方向に進んだ感じでした。他の方の感想を拝見した所、やはりラストについて言及されており、ラストのカタルシスが凄いと絶賛されておりました。

今までずっと『静』の雰囲気で進み、自分でもそのように鑑賞していると突然、アクション映画の『動』に変わったので、確かにその衝撃は凄かったです。一時間以上を費やして積み上げたイメージを一気に壊すその様は、僕も面白いと思いました。

また、清野菜名さんのアクションシーンも素晴らしかったと思います。

 

ただ、そこに至るまでの過程で、半分くらいはギブアップしてしまう人も居そうだなというのも、同時に感じました。あと、いくら伏線があるとはいえ、そのラストに関して『観客が驚けば何してもいいわけじゃない』と思われるような方であれば、あまり観ない方がいいのかなと思います。

 

ということで、この『東京無国籍少女』は、かの有名?な『東京大学物語』や『ハイスクール!奇面組』のオチが許せる、あるいは好きだ、という方。若しくは美少女のアクションシーンが観たい、という方々には一見の価値がある映画だとオススメできます。